今回の捕虜虐待で軍事法廷に告発されている兵士の中に、ムミアが現在収監されているペンシルベニア州グリーン刑務所の看守だった人物が含まれている・・・
+ + + + + + + + + + +・・・彼は兵役につく前は、ペンシルベニア州の特級厳重警備刑務所であるグリーン刑務所の看守であった。この刑務所にはペンシルベニア州最大の死刑囚監房がある・・・
・・・アブグレイブ刑務所から出てきたカラー写真が世界を駆けめぐり、無言のうちに、だが雄弁に物語っているのは、アメリカ人たちが「解放」するためにやって来た、というイラクの人々に対して、本当はどのように考えているのかという真実である・・・これこそ侮蔑と憎悪と人間性の欠如と、そして征服者の行為である。アメリカ人とイギリス人たちは、解放者なのかそれとも占領者なのか?その答えを知るためには、アブグレイブで撮影された写真の顔を見るだけで十分だ。
(以下転載)
TUP速報304号 アブグレイブ監獄の影の中で 04年5月9日
ムミア・アブ=ジャマールによるアブグレイブ拷問事件の論評
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アブグレイブ監獄の影の中で
2004年5月3日
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黒人ジャーナリストで、米国ペンシルベニア州の死刑囚であるムミア・アブ=ジャマールは、獄中から著作活動や録音されたメッセージにより、人種差別的暴力や戦争に反対するメッセージを送り続けています。 以下に訳出したのは、イラクの監獄における米兵による虐待に関する最新のコメントです。
今回の捕虜虐待で軍事法廷に告発されている兵士の中に、ムミアが現在収監されているペンシルベニア州グリーン刑務所の看守だった人物が含まれているようです。
PRISON RADIOのウエッブサイトでは、ムミア自身が、自分の声明やコメントを読み上げている声を録音で聞くことができます。(ムミアはもともとラジオ・ジャーナリストであり、こうした発表形式は彼にとってもっとも自然なものです)
http://www.prisonradio.org 今井恭平(ムミアの死刑執行停止を求める市民の会)
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--PRISON RADIOによる前文--
陸軍予備役兵士のチャールズ・グレナー(35歳)がイラクでの囚人虐待によって軍事法廷の告発にさらされていることは、驚くに値しない。そうなるだろうと予言すらできたくらいだ。彼は兵役につく前は、ペンシルベニア州の特級厳重警備刑務所であるグリーン刑務所の看守であった。この刑務所にはペンシルベニア州最大の死刑囚監房がある。ムミア・アブ=ジャマールもまたそこに収監されている。ファイエット郡の法廷記録によれば、グレナーは家庭内暴力によって過去3回起訴されており、現在も禁止命令を受けた状態にある。(おそらく暴力の被害者に近づくことを禁ずる命令/訳註)
---ここからがムミアの文章---
バクダッド郊外にある恐るべきアブグレイブ刑務所から出てきたカラー写真が世界を駆けめぐり、無言のうちに、だが雄弁に物語っているのは、アメリカ人たちが「解放」するためにやって来た、というイラクの人々に対して、本当はどのように考えているのかという真実である。 これらの写真は、インターネット時代にあって、またたくまにアラブとイスラムの社会に行きわたり、これまでは隠されていた、ことに海外ではめったに目にできなかったアメリカ人の性格を示している。 あざけり笑っている女性の脇で、素裸で立たされている男たちの姿は屈辱の極みであり、ものごとを見ることのできる人なら誰でも分かるように、アメリカ人がイラク人を、さらにはアラブ人全体を徹底的に蔑視していることを示している。
「アメリカ人とは本来、こういう人たちではない」と叫ぶ政治家がいる。「信じられない!ひどすぎる」という人たちもいる。 だが、何よりも真に心を凍らせるもの、裸の人間を積み重ねるという光景以上におぞましいもの、それはアメリカ人たちの顔に浮かんでいる、無邪気な歓喜の表情である。 イギリスのタブロイド紙に掲載された、イギリス人兵士たちがイラク人に小便をかけながら嘲笑している写真も、同様におぞましい事実を語っている。これこそ侮蔑と憎悪と人間性の欠如と、そして征服者の行為である。アメリカ人とイギリス人たちは、解放者なのかそれとも占領者なのか?その答えを知るためには、アブグレイブで撮影された写真の顔を見るだけで十分だ。
もとブラックパンサー党の著名な文化相でありチーフ・アーティストであったエマリー・ダグラスと最近話をする機会があった。エマリーは、歴史の中でほとんど忘れ去られていたあることを思い出させてくれた。1970年8月31日にブラックパンサー党のウエスト・フィラデルフィア事務所が警察によって強制捜索された時のことだ。自動小銃で武装した警官たちは、男たちを裸にして街路に立たせたのだ。(当時、ティーンエイジャーだったムミア自身、この警察の捜索の際に、警官から銃を突きつけられている/訳註) 私はまた、ボストンでおきた悪名高いチャールズ・スチュアート事件のことも思い出した。白人の男性が、自分の妻を黒人に殺された、と主張した事件である。 警官隊がボストンの黒人居住区ロックスベリーにまるで疫病のように大量に襲いかかった。彼らは(黒人の)男たちを裸にして、ビーンタウンの街路に立たせたのである。 今、イラクに派遣されている者の多く、ことに予備役から召集された者の多くは、警察官か刑務所の看守である。 アブグレイブ刑務所におけるイラク人への虐待には、実はアメリカ中の監獄や警察署内における虐待の前史があるのである。「ニューヨーカー」誌のジャーナリスト、シーモア・ハーシュによれば、囚人に対するソドミー(男性囚人に対する男性からの性的暴行)やさらに殺害事件さえあったという。 アブナー・ルイマ事件[*]を彷彿とさせる出来事である。
誰かを憎んでいたり、軽蔑していたり、あるいは恐れていたりするなら、その相手を解放するなどと言うことができるだろうか? 最初からわれわれが主張してきたように、イラクでの冒険行為は、抑圧された人々の解放などとは到底なりえないものである。実際には、最近「USA Today」とCNNが行った世論調査でも明らかなように、イラク人たちの71パーセントがアメリカは占領者であるという結論に到達している。
アメリカ人は解放と言うが、彼らがもってきたものは拷問であり、屈辱であり、支配である。フセイン政権時代に、その恐るべき監獄でおきた腐敗した出来事と何ら変わっておらず、拷問と恐怖支配が今もなお続いていることを示している。 アメリカの歴史から教訓を得るとしたら、事態を塗り隠そうとすることに警戒しなければならない。そうした試みは必ずなされる。
死刑囚監房から、
ムミア・アブ=ジャマール
*アブナー・ルイマ事件
1997年8月9日、ニューヨーク市のブルックリンで起きた警察官による人種差別的暴行事件。ハイチ系黒人移民のアブナー・ルイマ氏は、警察署内のトイレで、口と肛門に棒を差し込まれるという暴行を受けた。98年2月27日、5人のニューヨーク市警の警官が、大陪審によって起訴された。2001年7月13日、ニューヨーク市および市警労組が875万ドルの賠償金を支払うことで和解した。和解とは別に、暴行の実行犯である警官2名が、禁錮30年と15年の判決を受け、服役している。
ムミア・アブ=ジャマール
フィラデルフィアのラジオ・ジャーナリスト。もとブラックパンサー党の広報担当活動家。1981年12月に同市でおきた白人警官殺害事件ででっち上げ逮捕され、82年死刑を宣告される。 一貫して無罪を主張。一審裁判には、検察による証拠の捏造など多大な疑惑がある。95年から再審請求中。現在、連邦巡回裁判所(中間上訴裁判所)で再審を請求中。米国におけるもっともよく知られた死刑冤罪事件であり、支援・救援運動は、国際的な広がりをもっている。2003年10月、パリ市はムミアを名誉市民とした。パリ市が名誉市民の称号を授与したのは、1971年、パブロ・ピカソ以来である。
著書:
Live from Death Row 日本語訳『死の影の谷間から』(2001年現代人文社刊/今井恭平訳)
Death Blossoms
All Things Censored
Faith of Our Fathers
WE WANT FREEDOM--a life in the Black Panther Party
ムミアについての詳細は
ムミアの死刑執行停止を求める市民の会
http://www.jca.apc.org/mumia/ 今井 恭平
pebble@jca.apc.org
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(以上TUP速報より)
posted by hana at 00:40
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