しかし一方で、そのような「自己責任論」は、
人質となった方々のジャーナリストやボランティアとしての活動意義や
イラクが混乱に陥った様々な背景から目をそらし
問題を矮小化するものではないかとの声も挙がっています。
「危ない地域にわざわざ行ったんだから危ない目にあうのは
自業自得」
「危ない地域だからジャーナリストやボランティアが必要とされている」
「政府をはじめたくさんの人に迷惑をかけたのは責められるべき」
「海外の日本人を保護するのは政府の義務」
「自衛隊を撤退させないという首相の決断が人質となった方々の
開放を早めた」
「人質となった方々のこれまでの活動がイラクの人に評価されて
開放された」
人質となった方々はそんなに責められるべきことをしたのか。
「自己責任論」を主張する方々は何を求めているのか。
そもそもこの場合「自己責任」とはどのような意味で使われているのか。
誰に、どんな責任があるのか。
ちょっと議論を整理して、このへんを検証する必要があるのではないでしょうか?
そこで今回のシンポジウムでは、
問題を冷静に分析し真実を明らかにする大学人としての立場から
この問題について発言されている
醍醐 聰 (だいご・さとし)氏(東京大学経済学部教授・財務会計学)
伊藤 守 (いとう・まもる)氏(早稲田大学教育学部教授・メディア論)
のお二方のご講演、
および講演者と客席のディスカッションを通して、
「自己責任論」の論点を整理し、問題点を明らかにします。
醍醐教授は人質となった方々が帰国されて間もなく、
人質となった方々とその家族の方々への非難・中傷を中止するよう
求めるとともに彼らを激励するアピール署名運動
(詳細は下記の醍醐教授プロフィール参照)を早急に立ち上げ、
急速な支持が集まりました。
運動を立ち上げる過程で醍醐教授が分析された
「自己責任論」の問題点についてお話しいただきます。
伊藤教授にはメディア論研究者の立場から、テレビや大新聞などのマスメディアが人質に自己責任を迫る論調一色に染まってしまったメカニズムに鋭く切り込むお話をしていただきます。
シンポジウムの後には講演者のお二人も交えての交流会を予定しています。
ご参加お待ちしています。
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日本科学者会議(The Japan Scientists’ Association: JSA)
東大院生分会 新入大学院生歓迎企画
●○●シンポジウム 「自己責任論」を科学する●○●
日時: 2004年6月12日(土) 14:00〜17:00
会場: 東京大学弥生キャンパス農学部1号館地下1階第4講義室続きを読む